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弁理士試験:論文の要諦

三谷拓也 | 2023/11/26
弁理士試験は、短答試験と論文試験、口述試験の3段階です。

短答試験は知識力の試験です。
短答試験に合格できる知識があれば、論文試験にも合格できます。

論文試験は、厳密に言えば、文章力を問うものではありません。
問題文を読み解いて、問われていることを判断して、論述(アウトプット)するという試験です。


家の掃除をしていたときに、論文試験直前の最終確認用に作ったメモを見つけました。

論文試験で一番怖いのは「知っていたのに書くのを忘れた」というミスです。
論文の心得のほか、書き忘れしそうなポイントがまとめられていました。

メモの一部を抜粋します。

・問題文(設定)をしっかりと読む。ヤマが当たっても早合点しない。
・知っていることではなく、聞かれていることを書く。
・問題文の分析と答案の構成に時間をかける。
・問題文の誘導にしたがって文章を構成する。
・問題文中の表現を論述に取り込む。
・問題文の設定条件は使い切って論述する。
・当たり前なことでも原則論を書く。原則のあとに例外を書く。
・論述項目が少ないときには、論点の理解度をアピールする。
・理由をつける。理由の典型的なパターンは、そうすることが必要だから、そうしないと問題があるから、条文に書いてあるから。
・有力な理由付けはなるべく列挙する。
・請求、申請、権利行使などは、行使の前にそれをすべきかについて検討する。
・論述する立場(主観的な立場か、中立的な立場か)を考慮する。
・確信がないことは書かない(リスクは回避)。
・「取り得る措置」を聞かれたら、内容とその効果をセットで書く。
・差止めは、故意不要。仮処分、付帯請求についても検討する。
・直接侵害だけでなく、間接侵害にも言及する。
・判定への言及要否も留意する。
・問題となる実施行為がいくつかあるのならその行為ごとに検討する。
・禁反言を考慮する。抗弁事由になる。
・侵害については、直接、間接、利用、おそれ、抗弁を考慮。
・手数料関連は減免猶予に留意。
・権利濫用の法理は最後の手段。
・警告への対応では応訴準備も忘れないこと。
・積極的確認訴訟の可能性も検討する。
・アドバイスは、依頼者の利益事項を優先して考える。
・技術的範囲については均等論の5要件も考慮。
・実用新案では実用新案らしさ(特有性)を意識する。
・分割出願には補正の内容制限解除のメリットがあることに留意。
・職務発明については法定通常実施権を忘れないこと。
・実用新案の行使について、警告することを最初に書く。
・侵害については補償金請求権を忘れないこと。
・部分意匠については部品意匠についても連想すること。
・意匠は物品面と形態面から類比を判断すること。
・意匠の類否判断は、全体非類似が明らかであっても原則から述べる。
・商標審判関連では除斥期間に注意する。
・不正競争防止法の観点も留意する。
・・・などです。

資格試験は、能力の高い人を選抜する試験ではなく、できているべきことができていない人を落とす消極的な試験です。
論文試験も同じことなので、聞かれたことを書く、当たり前のことでも書く、確信のないことは書かない、というのが原則となります。

手元にある情報を分析して、求められているアウトプットを想定して、もれなく論述するということなので、仕事のシミュレーションのようです。

知っていたのに書くのを忘れた、というもったいない失点を防ぐ上で、最後の御守りとして自分用のメモを作っておくのはとても有効です。