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アイディアの出し方(1)

三谷拓也 | 2018/10/07
発明にノルマを課す企業があります。
このノルマをクリアするのがしんどいという話を聞くことがあります。

アイディア出しでおすすめなのがマイケル・マハルコ(Michael Michalko)の「アイデアのおもちゃ箱(Thinkertoys:ダイヤモンド社)」という本です。


自分は創造的な人だと思い込む


マハルコは、創造的な社員と創造的ではない社員の違いは一つしかないといいます。
創造的な社員は自分は創造的だと思っており、創造的ではない社員は自分は創造的ではないと思っている、というだけです。
自分は創造的ではない(頭が固い)と思っている人で実は創造的という人は、確かにいないような気がします。

自分は創造的ではないと思っている人は、まずは、自分は実は創造的なのだ、とセルフイメージを変えることが第一歩です。

アイディア・ノルマ


マハルコは、アイディアを出すためには自分にノルマを課すべきだといいます。たとえば、1週間に5個、のようにノルマを決めます。思いつくアイディアがバカバカしくても、こじつけでもいいので、ノルマを満たすように努力します。最初の5個を出すのは難しいけれども、これがきっかけとなってアイディアはどんどん出てくるはず。

エジソンは、小さいものを10日に1つ、大きいものを6ヶ月に1つ、のように自らにノルマを課していたそうです。

前提を疑う


本書は、以上をふまえ、大量の発想法を紹介しているのですが、その内のひとつ「みせかけ(第5章)」のテクニックをご紹介します。

このテクニックでは、

(1)課題を言葉で表現する
(2)前提条件を箇条書きする
(3)前提に思い込みがないかを検討する
(4)前提を逆転してみる
(5)別の観点を記録してみる
(6)逆説をやり遂げるにはどうすればいいか自問する

という手順で思考します。

創造性を妨げるもののうち最大のものは固定観念(思い込み)です。
このテクニックは固定観念(課題を成立させている前提)を崩す思考法です。
 
マハルコは、このテクニックの例として、アルフレッド・スローン(GMの名物経営者)が開始したオート・ローン(自動車の割賦販売)を紹介しています。

当時のGMの課題は、自動車が売れないことです。
自動車が売れないという問題の前提は「自動車が高い」ことであり、更にその前提は「自動車は、買わないと手に入らない」ことです。この前提を逆転すると「自動車は、買わなくても手に入れることができる(運転しながら買うこともできる)」になります。「運転しながら買うこともできる」を成立させる販売手法として、スローンはオート・ローンを開始します。

破産間際だったGMは、このアイディアのおかげで当時世界一だったフォードを逆転します。ヘンリー・フォードは、オート・ローンには反対だったそうですが、結果的にはオート・ローンは定着します。

今となっては、単純で当たり前すぎるアイディアです。ローンを自動車に適用しただけ、ともいえます。
 

固定観念は気づかないから固定観念


固定観念に気づくのは難しいです。なぜそんなことをしているのだろう、なぜそうあらねばならないのだろう、という「そもそも論(今更な話)」を素人の視線で捉える必要があります。
弁理士は、発明(クライアントのビジネス)に対してはアウトサイダーです。しかし、特定の技術分野に精通しすぎるとインサイダーとしての固定観念に落ちていくリスクは常にあります。

最後に、マハルコの本に載っていた問題です。この問題を解ける人はとても頭の柔らかい人だと思います。固定観念の少ない子どもの方が答えを見つけやすいかもしれません。

問題:下の9つの黒い点を3本以下の直線で結んでください。ただし、鉛筆を紙から1回も離してはいけない(つまり、一筆書きでなければならない)。