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コロナから考える技術の未来

三谷拓也 | 2020/09/13

新・常態


新型コロナウィルス問題の長期化により多くの常識が変化しました。
このような大きな社会的変化が起きるとき、早く元に戻って欲しいという考え方もあれば、この変化にどうやって対応すべきかという考え方もあります。

ピーター・ドラッカーの有名な言葉に「すでに起こった未来は、必ず機会をもたらす」というのがあります。
この変化が不可逆なのであれば、新しい技術を売り込む絶好のチャンスだといえます。


今回の変化によってどんな技術が求められるのか予想してみます。

感染防止


まず、マスクは「顔のパンツ」と言われるほど定着しました。
コロナ以降、マスクのイノベーションは一気に進んだ感があります。
洗濯可能(再利用可能)、UVカット、デザイン性アップのほか、フェイスシールドなども登場しました。

感染予防というよりも、感染させないためのエチケットとしての側面が重視されているようです。
要するに「呼気が相手に届かなければよい」というのならまだまだイノベーションの余地はありそうです。

清潔意識や健康意識は確実に高まりました。アルコール除菌や空気清浄機などの除菌・殺菌系の技術、健康診断や感染診断に関する診断系の技術も有望そうです。

テレワーク(社外勤務)


自宅やサテライトオフィス、リゾート地など社外で仕事をする「テレワーク」は定着可能性が高そうです。
したがって、テレワークの課題を解決する技術は有望です。

テレワークの課題としては、会議、指導、ちょっとした確認などのコミュニケーションを取りづらい、部下が見えないことによるマネジメントの難しさ、セキュリティの不安、などがあります。

テレワークが一般化すると、画面越しではよく会うけれども実際には会ったことがない人も増えてきます。
そこで、存在感をアピールし、親近感をもってもらうために、顔画像を加工し、見栄えをよくする技術が求められるかもしれません。動画加工技術をもっている企業にはチャンスがありそうです。

画面映りをよくするための特化型の化粧品なども考えられます。

オンライン・サービス


対面を前提としていたビジネスの多くがオンライン化します。

教育のオンライン化が進むと、いつでもどこでも良質な教育を受けられるための仕組み求められます。
たとえば、アニメーションをつかった視覚的にわかりやすい教育コンテンツや、生徒のレベルに合わせた多段階難易度の教育コンテンツなどオンラインならではの教育方法が考えられます。

従来は大きなスクリーンにPowerPointなどによる発表資料を映写しながらプレゼンテーションを行うのが普通でしたが、オンラインに合った新しいプレゼンテーション方法が開発されるかもしれません。

教育や講演のほか、工場や病院の無人化や省人化、オンライン診療をサポートする技術なども有望そうです。

「遠隔制御」「自動化(省人・無人)」の流れが加速すると思います。

モビリティ


自動車のように「人の代わりに機械が動く」ことは技術開発にとって重要なテーマですが、コロナによって人の動きが鈍くなるとこのテーマはいっそう重くなってくると思います。

まず考えられるのは物流関連技術(自分ではなく荷物が動く)です。
物流コストを下げるために、ドローンよる無人配送への期待も高くなります。

コロナ以降、電動自転車が売れているそうです。
電動自転車には、公共交通機関を避けて移動できるというメリットがあります。
運動にもなるし、ストレス解消にもなります。
電動自転車へのニーズが高まるのなら、自転車関連技術に対するニーズも高まります。
電動自転車に限らず、運動不足解消という観点から、有望技術が生まれるかもしれません。

未来を予測して、シナリオを立てて、シナリオに沿った技術開発をして、キーとなる技術を特許権によって1つ1つキープしていけば、きっと未来は開けてくるはずです。

参考:「未来を予測した特許出願」「マイルール製造法としての特許法