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係争実務/特許侵害訴訟(3)_警告への対応

松尾卓哉 | 2021/12/01

警告への回答 ※警告を受けた側の立場から


警告が青天の霹靂である場合、可能性をある程度予測していた場合、いろいろあるでしょう。
いずれにせよ、特許権者が競合他社であれば本気であることは間違いありません。
対応を一歩間違えば、紛争は避けられず、自社の企業体力に影響を及ぼすかもしれません。
まずは、自社製品が警告者のいうとおり特許権を侵害しているのか、その特許権が本当に有効なものであるのか、
事業を継続しながら係争を避ける手段はないかなど、詳細に確認・検討する必要があります。
焦って不適切な回答をすると、無用な出費が生じるなど自社が思わぬ不利益を被る可能性もあります。


受領書



詳細な検討のため、まず時間稼ぎをして対策を十分に練る必要があります。
例えば以下を検討します。
・特許権をつぶせないか(先行技術調査/無効資料を探す)
・特許権の範囲にないと主張できないか(特許の包袋の入手/出願経過分析)
・特許権の範囲から脱出できないか(侵害回避策の検討/設計変更の可能性)
このため、回答期限前ギリギリに受領書を返信し、延長の申出を行うのもよいでしょう。

特許権者が国内企業であれば、一般的にその程度は許容されると思われます。
差出人は、ひとまず企業(社長/知財部長)などとするのもよいでしょう。


回答書



侵害有無の確認ができたら、内容証明郵便で回答書を送付します。
自社の侵害を認める場合、あるいは侵害判断が微妙で穏便に解決したい場合、
設計変更する旨を伝えたり、ライセンス交渉を要請してみるのもよいでしょう。
警告書で訴訟が示唆される一方で非侵害だと判断した場合、その旨を回答します。

差出人は代理人(弁護士/弁理士)とします。場合によっては受けて立つ意思表示です。
回答書の中では非侵害であること、あるいは特許が明らかな無効であるなどを説明します。
訴訟に発展すると、係争中の言質が裁判進行の有利/不利につながる可能性があるため、
この段階では手の内をさらさないほうがよいでしょう。
特許権が無効であることを主張する場合でも、引例(無効資料の一部)の添付に留めるなどします。