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係争実務/特許侵害訴訟(2)_警告

松尾卓哉 | 2021/11/13

権利行使の検討


いったん訴訟を提起すると、振り上げた拳の落としどころを見つけるのも容易ではありません。
被疑侵害者の行為に悪質性があるかどうか、どの程度の緊急性があるかにもよりますが、
訴訟を回避しつつ目的を達成できるかどうかを探ることも必要です。


警告 ※特許権者の立場から


警告に際して相手方に書面を送達することになりますが、できるだけ穏便に進めたい場合には「質問状」、
直ちに撤退させたい場合には「警告書」とするなど、状況に応じて書面の体裁を変えることもできます。


質問状の送達

いきなり代理人(弁護士/弁理士)を立てて警告すると、相手方も戦闘態勢をとらざるを得なくなります。
そこで、相手方の真摯な対応が少しでも期待できそうな場合、「質問状」という形をとることもできます。
送付元を企業知財部長や事業部長などとし、企業間のやりとりでの穏便な解決を期待するものです。
法的効果は警告書と変わりませんが、相手方への伝わり方は幾分マイルドになるでしょう。
市場撤退又は設計変更を促し、相手方が了承することで目的を達成できるかもしれません。
ライセンス交渉なども友好的に進めやすくなるでしょう。

警告書の送達


相手方の侵害行為を強制的に止めたい場合、早期に解決したい場合には「警告書」を送達します。
送付元を代理人(弁護士/弁理士)とし、送付先を被疑侵害者である企業の代表取締役とします。
毅然とした態度で相手方に早期の決断を迫るものです。
警告書では、以下を示しつつ相手方の行為が自社特許の侵害であることを伝えます。
・調査結果(製品の特定、販売期間の特定)
・侵害にあたる請求項
ただし、まずは相手方の反応をみる必要があり、特許発明の権利解釈や被疑侵害品との対比などを
事細かに説明するなど、この段階で手の内をさらす必要はありません。
相手方の回答期限を定め(14日以内など)、誠意ある回答が得られない場合には侵害差止などの法的措置をとる旨を伝えます。