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外国出願:いくらかかるのか

三谷拓也 | 2020/04/04
外国出願を検討しているクライアントから、どのくらいのお金がかかるのかという質問をよく受けます。
発明の内容による、対象国による、翻訳者による、外国特許事務所による、為替による・・・費用に影響するパラメータはいろいろあります。




特許出願費用の価格構造


特許関連費用は、
(A)代理人の料金
(B)特許庁の料金
に大別できます。

日本出願の場合、「(A)代理人の料金」とは「日本の特許事務所の料金」のことです。

 外国出願の場合、日本特許事務所と外国特許事務所の連携プレーになるので「(A)代理人の料金」には、
(A-1)日本の特許事務所の料金
(A-2)外国の特許事務所の料金
が含まれます。

更に、
(C)翻訳費用
が追加されます。

つまり、

外国の特許関連費用
=(A-1)日本特許事務所の料金
+(A-2)外国特許事務所の料金
+(B)外国特許庁の料金
+(C)翻訳費用

となります。

特許出願したあとは、出願審査請求、拒絶理由通知(Office Action:OA)への対応(中間処理)、特許登録のタイミングで間欠的にお金がかかります。

外国の中間処理は、
(1)外国の特許事務所がOA分析をして対応方針を立案する。
(2)日本の特許事務所がOA分析をして対応方針を立案する。
(3)クライアント自身がOA分析をして対応方針を決める。
の3パターンがあります。組み合わせることもあります。

どのパターンでやるか、どのくらい丁寧に時間をかけて分析するかによって報酬は変化します。

各国費用


ある日本出願を外国にも特許出願すると想定します。
特許明細書のボリューム感として、日本出願にかかった費用は40万円程度だったとします。

この日本出願をベースとして外国出願もする場合の費用感、特に、特許出願(外国出願)出願審査請求について、どれくらいの費用((A)代理人料金と(B)特許庁料金の合計額)がかかるのかをまとめました。

上述したように、実際の費用はいろいろなパラメータの影響を受けますので、あくまでもモデルケースです。

英訳は日本で行うとし、英語以外の翻訳は外国代理人に頼むとします。
英訳の費用は30~80万円程度。
アメリカに出願するときには翻訳費用(英訳)がかかりますが、ヨーロッパにも出願するときには英訳をそのまま流用できるので追加の翻訳費用はかかりません。

・アメリカ(US)
[言語]英語
[出願費用]50万円程度(※翻訳費用は別途)
[出願審査請求費用](出願審査請求不要)

・ヨーロッパ(EP)
[言語]英語など
[出願費用]40万円程度(※翻訳費用は別途)
[出願審査請求費用]40万円程度

・中国(CN)
[言語]中国語
[出願費用+現地翻訳]70万円程度
[出願審査請求費用]10万円程度 

・韓国(KR)
[言語]韓国語
[出願費用+現地翻訳]60万円程度
[出願審査請求費用]15万円程度 

・台湾(TW)
[言語]中国語
[出願費用+現地翻訳]65万円程度
[出願審査請求費用]6万円程度

・インド(IN)
[言語]英語など
[出願費用]30万円程度(※翻訳費用は別途)
[出願審査請求費用]10万円程度

・タイ(TH)
[言語]タイ語
[出願費用+現地翻訳]65万円程度
[出願審査請求費用]5万円程度

・マレーシア(MY)
[言語]英語など
[出願費用]25万円程度(※翻訳費用は別途)
[出願審査請求費用]10万円程度

・シンガポール(SG)
[言語]英語
[出願費用]30万円程度(※翻訳費用は別途)
[出願審査請求費用]30万円程度

中間処理は10~40万円程度。
出願から登録までトータルでいくらかかるかは審査の流れにもよります。
アメリカの場合、200万円くらいを想定しておけばいいのではないかと思います。

費用を節約する方法


外国出願の費用を節約するためには、
・安い翻訳者に頼む。
・安い外国事務所に頼む。
・短い特許明細書にする(翻訳費用が安くなります)。
・軽減制度、助成金制度を利用する。
・為替が有利なときに手続きを集中させる。
・日本の特許事務所を経由せず、外国の特許事務所と直接やりとりする。
などが考えられます。

その他としては、
・出願あるいは出願審査請求のタイミングをずらすことで一時的に出費が急増しないようにする。
・分割出願などにより1件の特許出願を徹底活用することで、コストパフォーマンスを高める。
なども考えられます。

英訳の値段もまちまちです。
高いところも安いところもあります。
技術や外国特許法を深く理解している高度な翻訳者もいれば、理解の浅い翻訳者もいます。

外国の特許事務所も高いところも安いところもあります。
一概には言えませんが、低価格の場合「担当する外国代理人(弁理士)のスキルが低い(スキルの高い外国代理人は担当しない)」「案件にエネルギーを注いでもらえない」というリスクがあります。
高い料金を払っているときでもこういうリスクは消えませんが、資本主義の原理は特許の世界でもおおむね働いています。

参考:「超基礎:特許取得までの流れ」「外国出願:どの国に出願すべきか